五月:日本茶 | 山笑う、新茶の季節 – 日本茶の聖地

将軍たちが愛した新茶

新茶の季節は産地によって違いますが、その多くは5月頃。産地として特に有名なのは、茶の文化が花開いた地である京都・宇治でしょう。

かつては茶といえば、抹茶のことを指していました。露地栽培の抹茶に湯を注いで飲む<点茶法>が広まったころは、薬として身分の高い人々しか口にできないものでした。

16世紀後期には千利休により茶の湯が発展。その頃、宇治では茶畑に覆いを掛け日光を遮断する<覆下栽培>という栽培方法が登場し、抹茶は風味がさらに良くなりました。徳川将軍家の庇護を受け、毎年将軍家に新茶を宇治から江戸まで運ばせる<御茶壺道中>が制度化されたほどです。

ちなみに、煎茶の基礎が確立されたのは18世紀。蒸した茶の新芽を焙炉の上で、手で揉みながら乾燥させる製法が考案されました。これも宇治で誕生し、<宇治製法>と呼ばれています。

京都で発展した茶湯文化。ちなみに最初は奈良・平安時代の遣唐使や留学僧が、茶葉を固形にした<餅茶>を持ち帰ったといわれています。

鳥獣戯画が見守る茶の聖地

現在では、京都で銘茶の産地は宇治というイメージですが、実は日本最古の茶園といわれる場所が、京都の栂尾にある高山寺に伝えられています。

世界遺産でもある高山寺は、<鳥獣人物戯画>があまりにも有名です。

日本最古の茶園は高山寺の中にあり、鎌倉時代に栄西禅師が宗から持ち帰った茶の実を、高山寺の開祖である明恵上人(みょうえ)に伝え、栽培したのが始まりといわれています。明恵上人が茶の栽培を奨励したのは、茶が修行の妨げとなる眠気を抑えたからだとか。

当時は栂尾で栽培される茶を<本茶>とし、他を<非茶>として区別されていたほどで、天皇への献茶も行われました。その後、ここから宇治へ茶の木が分植されたそうです。

新茶の季節である今のシーズンは、紅葉の名所としても知られる高山寺一帯は、青紅葉が目に染みるほど鮮やか。茶のルーツを訪ねつつ、散策するのもお勧めです。

<日本最古之茶園>の石碑が建てられた横に茶園がある(立入禁止)
高山寺は立命館衣笠キャンパスからさらに北西に位置する山深い場所に位置し、JRバスで行くことができる。http://www.kosanji.com/